良いフォワーダーの見分け方とは?現場で聞いた優良業者の4つの条件
前回、フォワーダーという仕事は何かという記事を書きました。簡単におさらいしますと、お客の貨物を海上・航空輸送するんですが、船会社や航空会社のスペースを借りて運ぶ物流業者です。自社の設備(船・飛行機など)を持っておらず、情報力を駆使してお客にサービスを提供します。 今回は実際にお客様と話をしながら実感した良いフォワーダーの見分け方についてご説明したいと思います。
CONTENTS
1. 最も重要なフォワーダーとしての仕事
フォワーダーの仕事において何を持って「良い」のか?価格?サービス?迅速な対応?丁寧な仕事?会社の知名度? 人それぞれ「良い」と思う点は違うかもしれませんが、絶対的に重要な要素があります。それは「スペースを確保出来る」ということ。これは現場で仕事をしていると嫌という程実感します。
スペースがないとそもそも物が運べない
スペースとは船や飛行機の貨物輸送スペースの事です。沢山のお客が日々大量の貨物を輸送します。例えば海上輸送だと1船で2万TEU(約40フィートコンテナ1万本分)を運べる船が満帆になる程のボリュームです。 そして勿論 船は1船だけではありません。飛行機においても同じです。船・飛行機という箱を利用する以上 スペースには限りがあります。[br num=“2”] スケジュール通りに貨物を出荷したい場合、この限りあるスペースに何としてでも貨物を載せないといけないわけです。このスペースが取れないと別の便や翌週の便にまわされたりして輸送スケジュールが狂ってしまいます。
スケジュールが狂うと大問題な理由
流通には全てスケジュールがついてまわります。例えば工場で原材料が入ってこないとなると生産ラインがストップしてしまう。そうすると原材料が入ってくるまで従業員のする事がなくなります。これは工場では100%あってはいけない事。 また卸販売業だとすると売れ筋商品の在庫がなく長期間販売できない。もしそれが水着やハロウィングッズなどのシーズン物だとしたらそのシーズンの販売期間が短くなるだけで大きな機会ロスになります。[br num=“2”] これらをやってしまうと場合によっては賠償問題となってしまうのです。
なぜスペースが取れないのか?
フォワーダーとしてそれほど重要な船・飛行機のスペース。なぜそのスペースが取れないなんて事があるのでしょうか?それはフォワーダーの取り扱い貨物数が関係しています。 定期的に大量に貨物を取り扱うフォワーダーはキャリア(船会社・航空会社)にとっては上お得意様になります。その上お得意様が安定して貨物を運べるように船・飛行機のスペースを取りやすい状態にしてくれています。もちろん直前のブッキング(予約)で大量のスペースがとれる訳はないのですが。[br num=“3”] いわば良いフォワーダーはキャリアに融通が効きやすいのです。実際に別のフォワーダーがスペースが取れないので弊社にスペース確保依頼のお声がかかる事はよくあり、そして実際に取れる事が多いのです。※もちろん取れない時もあります。 スペースが取れなくて困っているとお困りの方は弊社までお問い合わせ下さい。
2. 競争力のある価格
物流はお客様にとっては安全に物をスケジュール通りに運ぶことが出来たら、あとはコストでしかありません。宝石のような小さくて価値のある製品を大量に輸送する場合であれば、製品一個に対しての輸送コストは非常に小さく製品原価に影響しません。 しかし綿や発泡スチロールのようにかさばるもの、米や鉄のように重たいものにとっては輸送コストは大きく原価に影響してきます。
キャリアからの仕入れ値自体が違う
全てのフォワーダーがキャリア(船社・航空会社)から同じレートをもらっているわけではありません。 月間10本のコンテナしか集められない会社と月間 2,500本以上のコンテナを取り扱うフォワーダー(弊社グループ)では運賃の仕入れ値自体が違います。
利益の乗せ方が違う
キャリアからの仕入れ値が安くても利益を高く取るフォワーダーもあります。これは営業担当者のスタイルによったりするのですが。 1社にだけ物流を依頼するのではなく、2社以上でレートを比較すれば大体の運賃相場が見えてきます。
向け地によって得意不得意がある
例えば弊社ではアジア、東南アジア、中東を中心に輸出貨物を取り扱っています。ですのでこれらの向け地に関してはキャリアから良いレートをもらっています。 しかし、アメリカや南米、アフリカなどに関しては定期的な貨物がありません。キャリアからレートを取る事は出来ますが、定期的に貨物を出荷しているフォワーダーに比べたら弊社の仕入れ値は高くなりますし、それほど魅力的ではないかもしれません。※営業担当者の利益の乗せ具合にもよりますが。
3. 営業担当者のスキル
営業担当者も良いフォワーダーを選ぶための重要な要素です。フォワーダーの営業担当者が辞めたとか帰国(駐在の場合)して、新しい営業になってからサービスの質が落ちたというのは良くある話です。 定期的に円滑に流れている物流案件であれば、あまり営業担当者の影響はありません。しかし、国際物流とはこちらの記事にも書きましたが問題が起きがちです。問題が発生した時にいかに迅速に最適な解決策を実行できるか。これが非常に重要です。
情報力があるか?
また物流ではフォワーディング(海上・航空輸送)以外もあります。通関、倉庫(一般、危険品、保税、冷蔵・冷凍、定温)、トラック、トレーラー、積み込み・積み降ろし、重量物輸送、政府への申請などなど。 どうすれば安全に、スケジュール通りに、安く貨物を運べるか。その為の情報を多く持ってお役様に最適な提案が出来るのが良いフォワーダー営業の条件です。
4. カスタマーサービス(CS)
貨物の取り扱いをするときに様々な工程があります。 1. Booking依頼 2. 船社にスペース確認 3. Booking Confirmationの提出 4. S.I(Shipping Instruction)の確認 5. BLのドラフト確認 6. Invoice, Packing Listの確認 7. VGMの確認 8. ローディング日の確定 9. トレーラーの手配 10. 空コンテナの手配 11. コンテナ品質の確認 12. コンテナNo.の確認 上記は海上輸送の定期的な貨物取扱の流れです。フォワーダーはこれらの工程を営業とCS(カスタマーサービス)担当者が共に対応していきます。定期的な案件の場合、確認連絡事項はCSがお客様とコンタクトを取ります。 これらの工程をさばく際にCSの経験が浅かったりコミュニケーション能力が不足しているとお客様には迷惑や不快を与えてしまいます。 いくらスペースが取れて、競争力のある値段で、営業担当者が優れていても実務担当者であるCSのサービスが悪いと全部が台無しになってしまうわけです。
まとめ
フォワーダーは商品ではなく貨物輸送というサービスをお客様に提供しています。サービス品質という項目において「人」というのはとても重要な要素ですので弊社では顧客対応にもしっかりとした教育を施しています。