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誰が責任を負うの?国際輸送で貨物ダメージが発生した時の検証の限界と梱包・保険による対処法をご説明します。

誰が責任を負うの?国際輸送で貨物ダメージが発生した時の検証の限界と梱包・保険による対処法をご説明します。 | 海上輸送

貨物を安全に運ぶ場合 梱包は欠かせません。特に国際輸送においては輸送中に貨物がダメージを受ける可能性が至る所にあります。今回は輸送時の貨物ダメージ発生するポイントをご理解頂いた上でどのような対策をすれば良いかお話していきたいと思います。

貨物ダメージが発生してしまう場所は?

インコタームズ

・工場でのトラック・コンテナ積み込み作業中

生産が終わった製品をトラックやコンテナに手積み・フォークリフト・クレーンなどを使用して積み込みます。その際に発生する問題の多くは人的ミスによります。 貨物を落としてしまったり、フォークリフトの操作ミスで貨物にダメージを与えたり。クレーンを使用する時は主に重量物を積み込む時です。そしてクレーンの操作ミスは貨物ダメージだけでは済まずに大きな事故にも繋がる可能性があります。

・工場からCFS・ターミナルまでの道中

輸送経路が悪路であったり、運転中の事故などでトラック・コンテナ内の貨物が動いてしまい、貨物にダメージが発生する場合があります。

・CFS内でのバンニング作業中

LCLや工場でバンニングできない場合、貨物をCFS(Container Freight Station)にてコンテナ内に積み込んでいきます。 LCLの場合は他社の貨物と相積みになるため、現場では積み込み方法が毎回異なります。この時に作業員がミスをしてしまったり、フォークリフトでの扱いにミスがあると貨物にダメージが発生します。 自社の貨物の上にものを置かないようにとリクエストをする事も可能ですが、コミュニケーションミスにより現場の作業員が間違う場合もあります。

・ガントリークレーンによる船積み作業中

コンテナ内に詰め込まれた貨物を港にてガントリークレーンを使用して船に積み込んでいきます。クレーンの操作は人によって行われます。 コンテナの四方の場所をしっかりと把握してコンテナを船に積み上げていくのですが、経験の少ない操作員や突風によりコンテナを1回で正確に積み上げれない場合があります。その際に貨物がコンテナ内で動いてしまい、貨物にダメージが発生する場合があります。

・海上輸送中

船に乗ったコンテナが海上で波の影響で揺れる場合があります。この際に貨物がコンテナ内で動いてしまい、貨物にダメージが発生する場合があります。

・ガントリークレーンによる積み下ろし作業中

積み込み作業と同じで、人が操作するクレーンで貨物を船から積み下ろしていきます。人的ミスやトップで積み下ろし中にコンテナが揺れる場合があります。

・CFSでの貨物の積み下ろし作業中

積み込み作業と同じで、貨物を積み下ろしていく際にも作業員のミスやフォークリフトのミスにより貨物にダメージが発生する場合があります。

・CFS・ターミナルから工場までの道中

輸出側と同じで、工場までの輸送経路が悪い場合やトラックの運転中の事故などにより貨物がトラック・コンテナ内で動いてダメージが発生する場合があります。

・工場での積み下ろし作業中

積み込み作業と同様で貨物を積み下ろす際に作業員がミスをしたり、フォークリフトやクレーン作業においてミスがあった場合は貨物にダメージが発生します。

責任はどこにあるのか

上記を見ていただいたら分かるように、 海上輸送においては至る所で貨物ダメージが発生するリスクがあります。貨物ダメージが発見された時にまず確認しなければならないのは、どこに(誰に)責任があるのか。 貨物ダメージが発生した場所を出来るだけ詳しく特定していくことになります。工場での積み込み最中なのか、港への輸送途中か。またはCFSでの積み込み最中なのか。それとも船に積む時か海上輸送中なのか。どこで問題が発生したかを特定して、貨物ダメージの補償をどこが行うのかを検討していきます。

LCLは貨物ダメージのリスクが上がるが証明書(Tally Sheet)がある

特に混載便(LCL)の場合、他社の貨物と一緒にCFSで積み込みされるので、FCLに比べてダメージ発生のリスクは上がります。LCLでは貨物の積み込み時に貨物の状態を記録するTally Sheetというものがあって、また積み込み時の写真も撮ってくれています。CFSでの積み込み積み下ろし時で貨物ダメージが特定出来るようになっています。 でもこれはあくまでダメージ発生の場所を特定し、責任の所存を確かめる作業になります。後述していますが貨物ダメージを防ぐためのものではありません。抑止力くらいにはなっていますが。

トラックも保険に入っている

トラックが事故を起こして貨物ダメージが発生する場合がありますがトラック会社も保険に入っています。輸送中のダメージは金額によりけりですがトラック業者が補償をしてくれる場合があります。

海上保険に入っておくべき理由

貨物ダメージがガントリークレーンでの荷役中に起きたのか、海の上で船が揺れてダメージが発生したのかかは現在では非常に判断が難しいです。また揺れただけでのダメージの場合はトラックの輸送中も起こりうる事ですので。 このように貨物ダメージの責任の所存が分からないことが多いのが国際輸送ではよくあります。責任の所存が分からないと誰も責任を取らないか、もしくは誰かが泣き寝入りしなければいけません。因みにですが船会社は責任を一切とりません。[br num=”2″] これはお客様と貨物を取り扱うフォワーダーとの関係・コミュニケーションにもよりますが、少々のダメージ時での金銭負担は問題を早く解決するためにフォワーダーが負担する場合もあります。誰かが金銭面の負担をしなければいけませんので。ですので私たちフォワーダーからすればお客様には必ず保険に入って頂きたいのです。

貨物ダメージが発生しない梱包・ラッシングの提案

問題が発生する度に責任追及をして費用負担を誰がするのかを協議するのはいささか生産的ではありません。問題が発生したら次はそれが発生しないように工夫をするのが私たち物流業者の仕事です。

梱包を強化する

人的ミスであれ、そうでない場合であれ貨物をダメージから守ってくれるのが梱包です。梱包には色々あり、一般のダンボール、強化ダンボール、木箱梱包、クレート梱包、スチール梱包などがあります。 梱包は強くなればなるほどコストが上がります。過剰梱包になり過ぎず、ダメージ発生時の金銭的・時間的なロスを考慮して最適な梱包を選びましょう。

まとめ

国際輸送で貨物を安全に運ぶには梱包は欠かせません。しかし梱包には費用がかかるのも事実です。私たちフォワーダーからお客様にお願いしたいのは、今回ご説明をさせて頂いたように貨物ダメージのリスクは至る所にあり、100%完璧に防ぐというのが困難であるというのをご理解頂きたいのです。 貨物ダメージが発生した場合の金銭的負担と時間のロスを考慮して、どのような梱包・ラッシングを選択すれば最も効率的で安全なのかをご相談させて頂ければと思います。