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【海上輸送の今】コンテナ運賃は横ばい、今後の見通しは?米中関係の影響にも注目

【海上輸送の今】コンテナ運賃は横ばい、今後の見通しは?米中関係の影響にも注目 | イーノさんのロジラジ

本日は現在の海上輸送市況についてお話ししていきます。
物流や貿易に関わる方はもちろん、最新のコンテナ運賃の動向が気になる方にとって、ぜひ知っておいていただきたい内容です。

現在のコンテナ運賃はどうなっている?

まず、現時点(2025年4月)での代表的なコンテナ運賃は以下の通りです。
上海発・北米西岸向け:2,202ドル/40′
上海発・北米東岸向け:3,226ドル/40′

このように、北米西岸向けは2,000ドル台、東岸向けは3,000ドル台を維持しており、昨年末に比べても大きな変動は見られません。
しばらく動きが少なかった「コンテナ市況」ですが、ここにきて再び注目を集め始めています

米中関係とコンテナ輸送への影響

現在、アメリカは中国からの輸入品に対して145%もの高関税を課しています。
これにより、中国製品がアメリカ国内で約1.5倍の価格で販売されることになり、消費者離れが進む可能性が高まっています。

一部では注文キャンセルも発生しており、中国からの輸出量の減少が懸念されています。

これは太平洋航路(中国→北米)におけるコンテナ需要の低下につながり、運賃の下落要因となります。

ただし、状況は一筋縄ではいきません。
たとえば、「iPhoneは関税の対象外」といった例外措置や、「90日間の関税停止」など、政策変更も頻繁に起きており、市況が読みづらい状態です。

船会社の対応:供給調整の可能性

需要が落ち込み続ければ、海上運賃は下落傾向になると予想されます。
一方で、船会社が供給量を調整する動きも出始めています。

運航本数の削減やサービス見直しにより、スペース不足を意図的に作り出すことで、運賃の下支えを図る戦略

欧州向けの運賃動向も要チェック

北米向けだけでなく、欧州向けの運賃にも注目です。

  • 上海発・北欧州向け:1,356ドル(20フィートコンテナ)
  • 上海発・地中海向け:2,144ドル

こちらも、過去水準と比較してやや下落傾向にあります。

アメリカ市場への輸出が難しくなった結果、中国と欧州の関係が強まり、物流の流れが変化しつつあります。

また、中国とベトナムなど東南アジアとの連携も進行中で、サプライチェーンの再編が進んでいます。

夏から秋にかけての「ピークシーズン」に注目

今後の海上運賃の鍵は、6月〜10月のピークシーズンです。
例年、6月~8月にはピークシーズンサーチャージ(PSS)が加算され、運賃が上昇する傾向にあります。

さらに、10月の中国・国慶節の前には輸出駆け込みがあり、アメリカではクリスマス商戦向け物流も本格化。

運賃が高騰しすぎると、消費が冷え込むリスクもあり、価格設定は重要な判断要素となります。

関税上昇がすべて価格に転嫁されるとは限らず、企業が赤字覚悟で価格を抑えるケースも想定され、市場の動きとしても注目です。

【まとめ】海上輸送市況の今とこれから

  • 北米・欧州向けのコンテナ運賃は横ばい
  • 米中関係の影響で今後は下落の可能性も
  • 船会社の供給調整によって市況は左右される
  • 夏〜秋のピークシーズンの動きに注目

今後も引き続き、コンテナ運賃市況や物流の最新情報をお届けしていきます。
ご質問や取り上げてほしいテーマがあれば、ぜひコメントで教えてください!

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